私立医学部受験のおはなし

私立医学部受験のホントのところ

医学部受験に合格するために問題集をいかに使うか?

医学部受験の勉強を進めるにあたり、生徒達が利用しているのは教科書に参考書、予備校のテキスト、赤本、青本、チャート式など様々です。その中でも使い方次第で勉強効率をおおきく左右するものがあります。それは問題集の使い方です。

受験勉強は基本的に教科書や予備校のテキストを読み、ノートを取る→参考書を読む→問題集を解く→過去問を解くといった流れで進めるのが基本でしょう。ここで大事なのは問題集を解くのにどれだけ時間をかけているかです。対象は目標とする医学部に偏差値の足りない生徒ですので、偏差値の足りている生徒は参考にならないと思います。

志望校に偏差値が足りないという生徒の中で「自分はずっと一生懸命に勉強している」という生徒はあまりいないのではないでしょうか(いたらごめんなさい)。まあ、勉強しているのに成績が上がっていないのであればそれはそれで勉強の効率が悪い、容量が悪いという事なので参考になると思います。偏差値の足りていない生徒は基本的に勉強量が足りていません。そんな状態で自分より上にいる生徒を追い抜いて医学部合格を勝ち取るには「自分より上にいる生徒より効率よく勉強をする事」が出来ないと合格できません。当然です。残り時間は同じなのですから。自分より上の生徒と同じ時間同じ事をやっていたら逆転は出来ません。そんな効率を劇的にあげるのが問題集の使い方を変える事です。では、どう変えたらよいのでしょう。

問題集を利用する時、みなさんはどのように使っているでしょう?基礎問題を解いて、類似問題を解いて、発展問題を解くと、まあ、こんな感じではないでしょうか?
まずはこの作業を見直しましょう。解くという作業は後回し。まずは答えと説明を見てしまいましょう。まずは2~3問程度答えと解説を先に見てしまいます。そして、解説を頭の中で反芻し、解説を閉じます。そして初めて問題を解き始めてください。たかが2~3問ですが意外と解説が曖昧にしか頭に残っておらず、解けないものも出てきます。このプロセスを解説を見た直後、翌日、1週間後と繰り返します。すると、解説を見ないでも問題が解けるようになります。これを繰り返す事で頭の中には様々な解法知識が記憶されていきます。みなさんは問題集の前で問題が解けずに10分、20分、30分と頭を抱えてしまう事がありませんか?これは決して能力が無いからではありません。似た問題が頭の中にないから解き方が思い浮かばないのです。受験問題が解けるかどうかははっきり言ってしまえば解法の知識があるかどうかに尽きます。短い試験時間の中でその場で解法が思いつく生徒などごくごく少数です。実際は頭に類題が入っているかどうか。これがすべてです。同じことは問題集を解く時にもいえます。知らなければ解けない問題を考えていても意味がありません。ならば、先に解き方を見て、解法を知って上で解きなおし、その知識を自分のものとしてインプットしてしまいましょう。インプットが完了すれば、同系列の問題は解法が思い浮かぶようになります。インプットまでの時間を短くするのが「解説を先にみてから解きなおす」という事なのです。

私立医学部受験:模試の考え方

私立医学部受験を志している生徒であれば当然模試を受けるはずです。では模試はどんなタイミングで受けるのがベストなのでしょうか?
a:ある程度勉強を進めて自信がついてから?
b:とりあえず受けてから考える?
正しいのはどちらでしょう?生徒に指導をしている立場から言えば正しいのはbです。模試を受ける意味は自分の弱点を知る事、自分の現状を知る事です。低い偏差値が出たとしてもそれはそれで意味があります。むしろある程度低い偏差値が出たほうが弱点が浮き彫りになり、勉強に危機感が出るという意味でも良いかもしれません。また、受験と同じような緊張感の中で、時間を気にしながら試験を受ける事で試験慣れも見込めます。私立医学部受験は他学部の一般受験以上にメンタルが弱く実力を発揮できない生徒が目立ちます。そういった点を解消する意味でも模試による試験慣れは効果的です。「実力がついたら模試を受ける」という生徒の場合は医学部受験本番までに数回程度しか模試を受けないケースもあり、自分の弱点を把握しないまま医学部受験本番に向かう事になるケースが多々あります。数多くの模試を受ける事でしか見えてこないものも多いのです。模試を受ける機会があるのであれば出来るだけ数多く受けて場数を踏んでいきましょう。

さて、模試を受ければ当然結果が返ってきますが、偏差値で一喜一憂する必要はありません。A判定でもE判定でも模試はしょせん模試です。本番の結果を保障するものではないのです。A判定でも落ちる生徒は落ちますし、E判定から逆転する生徒も少なからず存在します。ですから、成績が悪くても過度に落ち込む必要はありませんし、成績が良くても浮かれて油断してはなりません。模試の目的はあくまで試験慣れと弱点の把握です。模試が返ってきたら自分がどういった傾向の問題で間違っているのか?基礎問題の集まりである序盤の小問集合問題は確実に取れているか?点数が取れていないならば取れなかった理由は何なのか?勉強に抜け落ちがあるのか?ケアレスミスだったのか?ケアレスミスなら何が原因だったのか?緊張感が足りなかったのか?見直しが出来なかったのか?そういった部分を冷静に分析し次回の模試に活かす事が重要です。勉強が抜け落ちているのであればその部分を重点的に勉強すればいいし、時間が足りなかったのであればどこで時間かかってしまったのかを考え、時間短縮の対策を練ればいのです。

私立医学部受験のメソッド

私立医学部受験に有効な勉強法

私立医学部受験の勉強を進めるにあたっては様々な方法論があります。特に「~勉強法」「~メソッド」と言われるものには注意が必要です。国公立医学部ではなく、私立医学部を志望校としている生徒の大半は偏差値が足りない、または多くの科目を勉強する余裕がないためです。一部父母の学校を目指すという確固とした理由がある生徒をのぞいてはほぼ偏差値的な問題があると考えてよいでしょう。それはそうです。わざわざ学費が高い私立医学部を受験しようというのですから。

では、そういう偏差値の足りない生徒に同じような勉強法、同じようなメソッドを用いて同じように成績が上がるでしょうか?答えは「否」です。医学部に効果のある勉強法、医学部合格のメソッドというのはたいてい「自分はその方法で受かった」という方法論です。それをあらゆる生徒に適用して同じように成績は伸ばせません。当たり前です。現状の偏差値、理解力、勉強量、忍耐力、正確、何もかも違うのですから。もちろんその方法論やメソッドを完全に否定するわけではありません。成績が上がる生徒もいるでしょう。ここで言いたいのはその方法論を用いても成績が上がるとは限らないし、合格するとは限らないという事なのです。

有名な勉強法やメソッドを使わなくても

大仰な方法論やメソッドを使わなくても医学部受験に効果が上がる事があります。それは合格体験談的なものを読むことです。合格体験談は色々な出版社から出ていますが、一冊で良いので読んでみると良いです。これを読むことにより「医学部に合格した生徒が」「どのように」「なにを」「何時間くらい」勉強したかの大まかな量がつかめます。これがまさに1年前に合格した生徒の生の声です。私立医学部合格に必要な勉強量を認識したうえで勉強を進めるのと、曖昧に勉強をするのではあきらかに効果が違ってきます。また、そうした合格体験談を読むときは最初から偏差値が高かった生徒の話や突拍子の無いことをいっている生徒の話は無視してください。何の参考にもなりません。自分の状況に似ている生徒を何人かピックアップして、その体験談を読むことがコツです。また、大手家庭教師センターの合格体験記やネット上の口コミはあてになりません。人目に触れるところに出ている体験談は生の声とは言えず、宣伝の要素が感じられます。言葉は悪いですが合格体験談などを出版しているのはあまり大きな出版社ではありません。そうした出版社は我が道を行っていることが多く、周りの眼を気にせず真実を載せていることが多いです。参考にするのであればそちらを参考にするのが良いでしょう。

私立医学部受験と目標点

私立医学部受験と目標点

医学部受験で合格を果たすには何点くらいを目標にすればいいのでしょうか?おおざっぱに言ってしまうとセンター利用なら東大合格レベルの90%、本試験であれば70%くらいです。まずは過去問でその点数をとれるだけの学力を身に付けましょう。

私立医学部受験と国公立他学部入試

私立医学部受験と国公立他学部の受験とでは勉強法に大きな違いが出てきます。たとえば東京大学理科Ⅰ類などは二次試験の合格点が5割必要ありません。そのため例えば8割取れる得意教科があれば30点余裕が出来るので、その分苦手科目は2割取れれば良いという事になります。これにより苦手科目はほとんど捨てて試験に臨むことも可能です。そのような受験は極端な例としても、実際に得意教科で得点を稼ぎ、苦手教科は大きな失敗さえしなければよいという勉強スタイルが可能です。ところが医学部受験はそうはいきません。なぜならば医学部受験は問題の難易度が極端に高くない学校が多く、その分あらゆる科目で合格点のボーダーラインが高いのです。そうした状況のため、医学部受験で一つ苦手科目があるという事は合格が相当に遠のくと考えて間違いありません。

では私立医学部受験の合格に向けて何をすれば良いのか?

医学部受験を成功に終わらせるためには、すべての科目である程度の高得点を取る必要があります。その点では相当に厳しい受験と言えます。では、医学部合格に向けて何をするべきか?何に力を入れるべきか?それは苦手教科の攻略に他なりません。得意科目で70点を80点にするよりも、苦手教科を50点から70点にするほうが負担は少ないのです、苦手教科はそれだけ理解の足りていない部分や勉強の抜け落ちがあるわけですからそれを埋めることで点数は上がります。得意教科で重箱の隅をつつくような細かい知識の習得に力を入れたり、応用問題の前で頭を抱えるよりもはるかに効果が出ます。つまり医学受験を成功に終わらせるためには全教科でまんべんなく高得点を獲得する事。そのためには得意教科で点数の上積みを目指すよりも、苦手教科で点数を上げる方向性で勉強をすすめるのがもっともコストパフォーマンスの高い勉強であると言えます。

医学部受験と過去問

医学部受験と過去問

医学部受験を目指す場合はまず赤本などの過去問を見る事。志望校を決めるのはそれからです。まず過去問を見て、志望校の問題傾向を確認する。マークシート式なのか、記述式なのか、論述はあるのか、英語の長文読解はどれくらいの量か、数学の範囲はどこまでか・・・などなど。そこで問題傾向が合う学校を目指すのか、それとも問題傾向は自分向きではないがどうしても行きたい学校を目指すのかを決めます。問題傾向が自分に合っていない場合は、過去問から逆算して苦手分野を埋めるための勉強内容を考えていきます。得意な教科は予備校か独学で良いでしょう。苦手な教科は家庭教師か個別塾がベストです。ただし、個別塾も家庭教師も学生はNG。医学部受験を熟知している講師に指導を受ける事が必須です。

医学部受験の過去問を見る意味

医学部受験で過去問を見る意味は自分に合っているかどうかをつかむためだけではありません。受験問題を作成する場合、過去に出題した問題を参考に同レベルの能力を問う問題をつくるという大原則があります。学校ごとの過去問で同じような問題傾向が繰り返されていることからもそれはわかるはずです。たとえば昭和大学医学部の生物や東邦大医学部の長文読解など同じような傾向が繰り返されています。どういった問題でどのあたりの範囲が重点的に出題されるかなどが把握できるのが過去問です。そういた点から志望校への合格に向けた最良の参考書は間違いなく過去問という事になります。

出題傾向が変わったらどうする?

過去問を研究しても出題傾向が変わったらどうするのか?と心配する生徒がいます。しかし、そういった生徒は過去問を満足にこなせず心配が先に立っているケースがほとんどです。過去問を研究する事で少なくとも出題頻度が高い部分や難易度、時間配分は確認できるので問題傾向が変わったとしても得るものはあります。傾向が変わったらどうするのかという心配はまず過去問くらいはこなせるような学力を身に付けてからにしましょう。また、たとえ出題傾向が変わったとしても学校ごとに力を入れている範囲は特色が出ます。とくに理科系科目はその傾向が顕著です。原子分野が出るのか、生態系分野が出るのか、そのあたりは明確に傾向が出ておりおいそれとは変わらないので、まずは出やすい分野を何度も復習して自分のものにするこれが受験勉強の定石です。受験勉強に使える時間は限られています。限られた時間をまず志望校の頻出分野の習得に充てる。その他の対策はそれからです。